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文法もつづりも間違いでも得点 数々の疑問 英語民間試験

2019年5月16日 19時14分 教育 NHK

 

 

 

 

 

 

 

 

今のセンター試験に代わり、再来年から始まる「大学入学共通テスト」に新たに導入される英語の民間試験に対しては、さまざまな疑問の声が上がっています。

 

西日本の高校で英語を教えている教員は去年、生徒が受けたある民間試験の採点に疑問を持ちました。

 

「地域をきれいにするためにできることは何だと思うか、1つ取り上げて理由を書きなさい」という英作文の問題で、生徒の解答用紙には「I think to inportant」としか書かれておらず、文法や単語のつづりも間違っていました。

 

この教員は、過去に民間試験の採点に関わった経験があり、自身ならば「0点」にすると言いますが、業者から返ってきたスコアは160点満点中41点だったということです。

 

この試験の採点はアジアなど複数の国の業者に委託するなどして行われているといいます。

 

この教員は「自分の能力を測定するだけの検定試験なら、生徒のやる気を損なわないため、多少甘い採点もあり、かもしれない。しかし、入試に使われると思うと、満点の4分の1もの点が付いているのは疑問だ。本番でもきちんと採点が行われるか不安があるし、ある試験の採点がやさしいと評判になったらそこに受験生が殺到して結果的に公平な評価にならず問題だ」と話しています。

各事業者で採点基準が大きく異なる

民間試験を実施する7つの事業者は、採点者の基準やその公表方針が、それぞれ大きく異なっています。

 

▽「ケンブリッジ英語検定」は、大卒以上で英語教育に関する資格を保持し、英語の指導歴が3年以上などとしています。

 

▽「TOEFL iBT」は、大卒以上で英語の指導経験があるなどとしています。

 

▽「IELTS」は、大卒以上で英語教育に関する資格を保持し、英語の指導歴が3年以上などとしています。

 

▽「TOEIC」は、大卒以上で英語教育に関する資格を保持し、一定期間の指導経験があることなどとしています。

 

▽ベネッセコーポレーションが実施する「GTEC」は、海外の英語を話す人で、採用試験に合格した者、などとしています。

 

▽「英検」、「TEAP」、「TEAP CBT」は、いずれも日本英語検定協会が実施していますが、採点者は国内・海外を問わないが、応募資格などは「機密事項」につき公表できないとしています。

異なる試験の点数どう平準化 受験料もまちまち

採点以外にも課題が指摘されています。

 

1つは異なる試験によるスコアをどこまで公平に平準化できるかです。

 

この手段として国は、国際的にも使われている「CEFR」という指標を用いるとしています。

 

しかし、目的や手法も異なる試験のスコアをどこまで公平に評価できるのか、問題視する意見が根強くあります。

 

また、試験によって受験料がまちまちで、6000円ほどから高いものでは2万5000円を超えるものもあります。

 

大学入試センターに提出できるスコアは2回ですが、練習で試験を受けることも可能です。

 

このため、家庭の経済状況や地域によって受験機会に格差が生じることも懸念されています。

 

貼り付け元  <https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190516/k10011918481000.html>

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「大学入学共通テスト 英語民間試験導入を考える」(視点・論点)

2019年10月16日 (水)

立教大学 名誉教授 鳥飼 玖美子

 

今日は、2020年から始まる「大学入学共通テストへの英語民間試験の導入」について、どういう制度なのか、何が問題なのかを説明します。

 「大学入学共通テスト」というのは、これまで行われてきた「大学入試センター試験」いわゆる「センター入試」を廃止した後に始まる、新しい「共通テスト」です。
 国立大学を目指すなら必ず受験しなければなりませんし、私立大学も多く参加していて、毎年50万人以上が受験します。
 その「共通テスト」の英語科目では、大学入試センターの試験に加えて、民間事業者による試験も受けなければなりません。高校2年生は、7種類ある民間試験のどれかを選んで申し込みをします。高校3年生になってからの4月から12月までの間に二回受けられることになっていて、そのスコアが民間試験事業者から、大学入試センターの「大学入試英語成績提供システム」に送られ、それが、大学に送られることになります。
 民間試験のスコアをどのように活用するかは大学が決めるので、国立大学でも「出願要件にする」とか「合否判定には使わない」、もしくは「民間試験のスコアを加点する」などマチマチです。活用を決めかねている大学もありますし、肝心の民間試験で未だに日程や会場を公表していない事業者も複数あるので、高校現場は混乱しています。

 英語に民間試験を導入することになったのは、「読む・聞く・書く・話すの4技能」を測定することが理由です。これまでのセンター入試は「読む・聞く」の「2つの技能」なので、「話す力」「書く力」も測るのに民間試験を使うとなりました。2020年から3年間は、大学入試センターが作る英語試験と民間試験の二本立てで、2024年度以降は民間試験だけにするかどうか決まっていません。
 初の共通テストは2021年1月実施ですが、英語民間試験は2020年のうちに受けなければなりません。
 英語民間試験はすでに多くの大学で活用されていますが、共通テストとして50万人以上が受けるとなれば、規模や運営が全く違ってきます。ところが、そのような認識がなかったのか、制度設計に構造的な欠陥があります。具体的に7点ほど挙げてみます。
 
まず、大学入試センターの「共通テスト」でありながら、民間の英語試験だけは、実施する事業者の運営に任せています。そして入試センターの英語試験と違って、民間試験は学習指導要領にもとづいた出題ではありませんし、出題内容を公表しません。


 次に、認定された民間試験は7種類あって、それぞれ目的や試験の内容、難易度、試験方法、受検料、実施回数などが違います。


 3番目の問題は、「格差」です。
 これまでは、大学入試センターに検定料を払って、志望大学に受験料を払うだけでしたが、今後は、別に民間試験の受検料が必要です。受検料は事業者によって違い、一回6000円くらいから2万数千円かかります。
 高校生は誰もが、最低でも2回、できたら何度も受けて練習したいと考えるでしょうが、保護者の経済的負担は大きくなります。結果として裕福な家庭では何度も民間試験を受けさせ、対策講座に通わせてスコアをあげることが可能になり、余裕のない家庭の受験生との経済格差が大きくなります。
経済的に苦しい家庭なので、国立大学を希望していたけれど、英語民間試験の出費を考えると大学進学を諦めるしかない、という高校生もいます。

 また、全国に試験会場がまんべんなく用意されるわけではないので、地域によっては遠方まで出かけて受検しなければなりません。交通費や宿泊費がかかって、地域格差が受験生を直撃します。
 加えて、障害のある受検生に対して、これまでのセンター入試のようなキメ細かい配慮が民間試験では準備されていません。「障害者差別解消法」違反の疑いも指摘されています。
 

 4番目の問題は、「採点の公正性」です。50万人もの解答を短期間に、誰がどう採点するのか。スピーキング・テストの採点は海外で行う、でも場所は「アジアを含めた世界のどこか」、としか明らかにしていない事業者もあります。どのような資格を持った人が採点するのかを公表していない民間試験もあるので、公正性や透明性が問題となっています。


 5番目の課題は、「出題や採点のミス、機器トラブル」です。
複数の民間試験がパソコンやタブレットを使う予定ですので、機器トラブルや、音声データを聞いても誰の声か分からない、雑音が入っていて採点できない、などの事故が一定の割合で発生することは避けられません。
 大学入試では、何重にもチェックしますが、それでも出題や採点のミスやトラブルが発生することがあります。その都度、大学は対応策を公表します。
ところが、民間試験でそのような事態が起きても公表するかどうか分かりません。文科省の見解は、「民間事業者等の採点ミスについて、大学入試センターや大学が責任を負うことは基本的には想定されません」というものです。
出題や採点、危機管理で、大学入試センターほどの厳密な運営を実現するのは経費も手間も並大抵ではありません。民間事業者に一任で良いのでしょうか。


 6番目の問題は、「利益相反」の疑いです。
民間試験の中には、問題集などの対策本を販売している事業者があります。担当部署が違ったとしても、同じ事業者が、共通テストの一環である英語試験を実施しながら、対策指導で収益を上げるのは、道義的な責任が問われないのでしょうか。
 高校を試験会場には使わないと明言していたのに、最近になって方針を変えた民間事業者もあります。受験生が通う高校を会場にして、その高校の先生たちが試験監督をすることに問題はないのでしょうか。


 最後に、根本的な問題があります。高校は大学入試を無視できないので、高校英語教育は民間試験対策に変質します。授業をつぶして模擬試験を受けさせる高校もすでに出ています。民間試験は学習指導要領に従うことを義務付けられてはいないのですから、民間試験対策に追われることは公教育の破綻につながります。かつては、受験勉強が高校教育をゆがめていると批判されましたが、民間試験対策が高校教育をゆがめることになります。

 「英語を話せるようにしたい」という願いは理解できます。でも、「話す」ことは、状況や相手によって違ってきます。文化的な要素も影響します。「話すこと」は複雑なので、正確に測るのは極めて難しいのです。高校までの基礎力を土台に、大学入学後に時間をかけて指導する方が効果は上がります。
 そもそも「スピーキング・テスト」では、「話す力」の何を測るのでしょうか。文法の正確さを測るのか、発音の良し悪しをみるのか、ともかくよどみなくしゃべれば良いのか、採点基準によって点数は違ってきますし、採点者によって評価はばらつきます。それを避けるために「採点しやすさ」を目指す出題にすると、本来のコミュニケーション能力を評価することにはなりません。「話す力」を入学選抜に使うのは無理があると分かります。
 センター入試は「2つの技能しか測っていない」からダメだとされましたが、実際は、学習指導要領に準拠して、コミュニケーションという視点から、かなり工夫を凝らして、「総合的」な英語力を測定していました。「4技能」は別々に測定する必要はなく、互いに関連しているので、総合的に考えるべきものです。
 受験生を犠牲にすることなく、公正・公平な選抜試験を実施するにはどうしたら良いのか、大学入試は何をどう測るべきなのか、そもそも「コミュニケーション能力」とは何か、などを教育的観点に立ち返って議論できたらと願っています。

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/414086.html

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AI時代の生き残り術 自ら考える努力、継続を

意味捉える力を磨け 国立情報学研究所教授 新井紀子氏

2019/6/17付

日本経済新聞 朝刊

 

人工知能(AI)が仕事を奪うことへの懸念が広がっている。とりわけ学生の将来不安は強い。早くから問題を指摘してきた数学者の新井紀子・国立情報学研究所教授に対策を聞いた。

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国立情報学研究所教授 新井紀子氏

 

――懸念するほどの変化が起きますか?

「進化したAIが人類を支配するシンギュラリティー(技術特異点)のようなことは起きません。しかし、定型的な頭脳労働の一部がデジタル化されて、機械に置きかわるのは間違いない。デジタルは数値データの処理に最も威力を発揮するので、やはり銀行や証券、保険業界などへの影響は大きいでしょう。ホワイトカラーの占める割合が大きな物販の営業部門あたりも代替されます」

「理科系も安心はできません。生産性の低いプログラミングの会社は整理されていく。これから、2030年ぐらいまでの間に、デジタル化を前提にした最適化が進行し、非常に多くの業態が再編されるでしょう。おそらく誰もがこの劇的な環境変化に巻き込まれる」

□ □

 

――若い世代ほど将来不安が強いようです。

「どのみち想像をはるかに超えることが起こる。どの職業がAIに置きかわるか誰にも予想できない。どの進路が安全かと考えることは、もっとも意味がない。公務員になれば大丈夫とか、医師なら問題ないといった考え方は一番ダメな選択の方法だと思います」

「どうすればいいか。どんな状況でも、常に求められるのは有能な人材です。卒業した学部や特技などとは関わりなく、基本的なスキルが高い、生産性が高い人です。つきつめると、それは読解力と論理力です。他の人と働くのであれば、コミュニケーション能力がそれなりにあれば、どんな世の中になっても怖いものはない。この3つの基本さえできれば、機械との競争には負けない。機械は意味を理解しませんから。労働市場で引く手あまたでしょう」

 

――政府や企業、教育機関もAI人材の育成やプログラミング教育などに力をいれています。それは読解力などの伸びにつながらない?

「先が見えない時代だから学生も親も企業も、すべての能力を備えなければと焦る。不安だから、あれもこれも手を伸ばす。経済界も政府も、英語もプログラミングもでき、コミュニケーション能力が高いといった理想像を描いてしまう」

「一方で、かえって学習の基礎基本がおろそかになっている。2021年から新センターテストが始まるが、国語記述式問題の自己採点が合わない受験生が3割もいる。なぜだと思いますか。多くの高校生が自己採点を正確にできないのです。そうした基礎基本が欠落しているのに、あれこれやっても身に付かない」

「例えば、高度プログラミングに最も必要な力は正確な仕様書を書き、仕様書通りに実装すること。要は読解力と記述力です。加えてAIを使うプログラマーに欠かせないのは、確率と統計と行列、微積分などの数学です。数学は苦手だけど、プログラミングを少し勉強しましたでは、早晩淘汰されるでしょう」

□ □

 

――中高生の3人に1人が普通の文章が読めていないそうですね。

「AI研究を通じて考案したリーディングスキルテストを小学6年生から1部上場企業人まで7万人超に実施しました。多くの人が事実について書かれた短文を正確に読めていないことが分かり衝撃を受けました。深刻なのは本人に自覚がないこと。読書好きといいながら、実は短文を正確に読めない人が実に多い」

「テストを受けた人の多くが文章が読めるとはどういう状態か、そもそも分かっていない。中学に進学して数学が嫌いになったという人は少なくありませんが、実は単に数学の教科書が読めていなかったからだというケースが多い。読むとは何か分からないまま、大学に進み、多くの人が20代を迎えているのです」

「教科書や新聞の文章、辞書が正確に読めれば、数学やプログラミングの教材は読める。プログラミングは自分で学べます。私たちの調査から、教科書をきちんと読めれば、学力が伸びることがはっきりしている。学習しても学力や生産性が伸びないのは説明文を正確に読めないためです」

 

――AIを恐れる前に、読解力が先ですね。

「読解力が不足しているとミスが出やすい。すると多忙になりすべてが後手に回ってしまう。そんな状態に陥る前に、読解力をつけた方がいい。知識量を求める前に、新聞のひとつの記事を一字一句読む。どういう意味か考えながら、じっくり文字を追う。ノートに要約を書くのもいい」

「自分の頭で考えることが大事です。効率が悪いと思っても、腑(ふ)に落ちるまで読み込む。1年続ければきっとすばらしいことになる。そうした努力を続けられれば、それほどAIを恐れる必要はないはずです」

 

あらい・のりこ一橋大法卒、米イリノイ大大学院数学科博士課程修了。理学博士。2006年から国立情報学研究所教授。「ロボットは東大に入れるか」プロジェクト(通称「東ロボ」)を指揮する。著書に「コンピュータが仕事を奪う」「AI VS 教科書が読めない子どもたち」など。

 

貼り付け元  <https://www.nikkei.com/article/DGKKZO46106980U9A610C1TCL000/>

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“高校普通科は学習意欲が低下” 見直しを提言 自民

2019年5月14日 15時55分 教育 NHK

今の高校の普通科では、大学入試に困らない指導が行われ、生徒の学習意欲が低下しているとして、自民党の教育再生実行本部は、普通科の見直しなどを盛り込んだ提言をまとめました。

自民党の教育再生実行本部が14日にまとめた提言では、今の高校の普通科について「大学入試に困らない指導をするあまり、生徒の学習意欲が低下している」などと指摘しています。

そのうえで、「学校ごとに特色を出した新たな枠組みを作り、指導方針を明確化することが必要だ」と見直しを求め、新たな枠組みのイメージとして、科学技術分野の教育に特化した「サイエンス・テクノロジー科」や、国際社会で活躍できる人材を育てる「グローバル科」などを挙げています。

また、次世代の学校の指導体制について、ICT=情報通信技術の環境を整備して、児童・生徒一人一人の学習状況などを集積し、個別の状況に応じた学習活動が展開されるようにすべきだとしています。

実行本部は、近く政府に提言することにしています。

貼り付け元  <https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190514/k10011915691000.html>

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英語民間試験は「混乱状況」 高校が文科省に対応要望

2019/7/25 19:32

日本経済新聞 電子版

2020年度に始まる大学入学共通テストで、全国高等学校長協会(全高長)は文部科学省に対し25日、英語民間試験の活用への懸念を早期に解消するよう求める要望書を提出した。実施方法の確定や周知、居住地や家庭の経済状況で受験機会に差が出ないような配慮などを要請。「次年度のことなのに、全く先が見通せないほどの混乱状況だ」と訴えた。

 

全高長は全国の国公私立の高校や特別支援学校高等部など計約5200校の校長が会員になっている。会長を務める東京都立西高校の萩原聡校長らは25日、柴山昌彦文科相宛ての要望書を伯井美徳高等教育局長に手渡した。

共通テストは6団体7種類の英語民間試験の成績が使われる。英語の「読む・聞く・書く・話す」の4技能を試すためで、受験生は20年4~12月に民間試験を受ける。

要望書では、生徒が希望する時期や場所で試験を受けられる見通しが立っていないことや、地域や家庭の経済状況によって受験しやすさに差があることなどの懸念を示した。

その上で文科省が各実施団体に任せず、責任をもって対応する必要があると指摘。2学期に生徒に説明をするため、8月半ばをめどに文科省側が対応するよう求めた。

要望書には「実施体制が整うまでは実施を見送るべきだ、といった声が校長から相当数上がっている」とも記載。25日に記者会見した萩原氏は「文科省にはまず、不安を解消してほしい」と述べた。

文科省は「真摯に対応する。各民間団体が情報提供しているが、文科省として整理して取り組む必要もある」としている。

全高長は現行の大学入試センター試験の導入前も、準備が間に合わないとして文部省(当時)に延期を要請。最終的にセンター試験の開始は1年延期され、1990年1月に初回が行われた。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47785040V20C19A7CR8000/?n_cid=NMAIL007

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基礎英語で正答3割、教諭はショック「中1で習うのに」

有料会員限定記事

貞国聖子、編集委員・氏岡真弓 三島あずさ、山下知子 2019年8月1日09時00分

 全国学力調査で中学3年を対象に初めて実施された英語の結果が31日に公表され、「聞く・読む」に比べ「書く・話す」に課題が表れた。専門家は「発信力を上げる必要がある」と指摘するが、文法問題でつまずいている生徒もおり、「まずは基礎を身につけることが大切」という声も上がった。

 東京都の区立中学校で英語を教える50代の教員は調査結果を受け、「日常で使える英語が身についていない」と感じた。

 「聞く・読む・書く・話す」の4技能をバランス良く伸ばすことを重視する文部科学省は今回、パソコンを活用して「話す」のテストも実施したが、平均正答率は4技能で最も低い30・8%(参考値)。先生と生徒のやりとりをふまえ、即興で質問する問題は、10・5%にとどまった。

 この教員は「子どもたちは普段…

https://www.asahi.com/articles/ASM7Z7HSHM7ZUTIL04P.html?ref=hiru_mail_topix2_6

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ババ引かされたのは受験生だ! 英語民間試験 なぜ国は推進した

2019年11月7日 20時15分

50万人の受験生に衝撃が走った英語民間試験の延期。文部科学省を取材する私たちは、こう思いました。「どうしてこんな政策を官僚たちは推し進めたのか、絶対明らかにしたい」

(霞が関リアル取材班 記者 伊津見総一郎・鈴木康太)

オススメできない?!

 

「自信を持って受験生の皆さんにオススメできるシステムになっていない」。今月1日、文部科学省の萩生田大臣は記者会見で延期の理由をこんな言葉で説明しました。

会見に出席した私たちは、これまで取材してきた受験生の顔を思い浮かべながら、「オススメできないとは何事だ」と正直、憤りを覚えました。

一方で、ふと思ったのが、大臣の脇を固める文部科学省の官僚たちはどうしてこんな政策を推し進めたのかという疑問です。

すっかり有名になった、萩生田大臣の「身の丈」発言が、今回の延期に影響したのは間違いないですが、問題の本質は、試験の実施を民間事業者に委ねたことによる「経済格差」「地域格差」といった構造的な問題でした。

はっきりいって、試験ごとに異なる受験料の問題、さらに、住んでいる地域によって、受験する機会に差がでることは、誰が見ても明らかな欠陥だったと思います。

そんな政策を官僚たちはどうして推したのか?私たちは、その答えを探るため、官僚たちの本音を聞くことにしました。

 

「どうしてこんな政策が進んでいるのかと疑問を持っている職員もいた」こう率直に答えたのが、中堅職員Aさんです。さらに、Aさんは、その状況をトランプのこのカードに例えました。

 

(中堅職員Aさん)

「担当者の中でも『ババ』を引いたと苦笑いしている人もいた。このまま導入されていたら混乱は避けられなかった。見送りになって、正直、ほっとした職員もいます」

 

また、別の若手職員Bさんは、大臣の延期の判断を肯定し、こう言いました。

 

 

 

 

 

 

 

(若手職員Bさん)
「11月に入るとテストの申し込みも本格化したので、ぎりぎりの判断だったと思う。受験に向けて準備してきた高校生や関係者には迷惑をかけるが、一度立ち止まることができてよかった」

「文部科学省は、どうしても民間試験をやりたがっていた」こういう論調もあるようですが、取材するかぎり、この政策を危惧した職員は少なからずいました。ただ、1つ言いたいのは、ババを引かされたのは官僚のみなさんじゃなく、間違いなく受験生だということです。

政府内から相次いだ「官僚責任論」

 

一方の永田町。延期が決まるや否や、その責任を文部科学省、特に官僚に矛先を向けました。

(自民党 世耕参院幹事長)
「この問題は文部科学省事務方の制度設計の詰めの甘さが原因だ」

(菅官房長官)
「文部科学省と民間試験団体の連携、調整が十分でなかった」

(柴山前大臣)
「見送られたのは、円滑な実施に向けて取り組んできた関係者にとって意外であった」

ちょっと待ってください。前任者の柴山前大臣は在任当時から「多くの人が賛成している」とずっと主張されていましたが、萩生田大臣は「全般的に不備があることは認めざるをえない」と発言したばかり。当時の責任者はあなたでは?いったい官僚、政治家、どっちの責任なのか、ただ、1ついえるのは、現場の怒りは頂点に達していたということです。

(高校2年生の男子生徒)
「そもそも僕たちは民間試験は何のためにやるのか納得していなかったので、延期は当たり前の結果だと思っています」

(女子生徒)
「朝起きてニュースをみて衝撃を覚えました。これまで準備してきたので悲しいです」

(対策進めていた私立高校の校長)
「本当にびっくりしました。準備をしてきた生徒はいったいどうなるんだろうと、腹わたが煮え繰り返る思いです」

そもそも誰が言い始めた?

 

そもそも、英語の民間試験の活用はいつ、どこで決まったのか。

それは、文部科学省ではなく、政府のもとに設置された「教育再生実行会議」がその舞台でした。

小中学校、高校と学んでも英語のコミュニケーション力が身につかない日本人。それを改善するには、「読む」「聞く」だけでなく、「書く」「話す」という力も必要だという考えがあったようです。そこで2013年、センター試験に代わる新テストの導入が提言されました。そこで、今回の民間試験の活用も検討されたのでした。

当時の文部科学大臣は、文教族として知られた下村博文議員。下村元大臣は、その経緯について、先日、記者団に聞かれて、こう説明しています。

(下村元文部科学相)
「話すことなど4つの技能を入試で問うため、民間試験の活用を決めた。センター試験で全部やるとなると、新たに相当な税金を投入しなければならないが、すでにかなりの大学が民間試験を導入しているので、それをうまく活用すればいいのではないかというのが経緯だ」

このように、民間試験を導入した経緯は説明したものの、それが自身の発案だったと明確に認める発言ではありませんでした。

しかし、取材した複数の官僚は、その導入は下村元大臣の強い指示だったと証言しました。なかには、「無理が押し通された」とこぼした幹部もいました。

一方で、別の元幹部は、官僚側にも問題はあったと告白しました。

(文部科学省元幹部)
「無理筋だと感じながらも、行政官は決まったことは『やる』のを前提に進める。そのうえで、スケジュールや受験料の話など事務方にハッパをかけるということはかなりやってきたと思うが、どこで誰が責任をとるのか決められず、ずっと曖昧なうちに進んでしまったことは否めない。政治主導だけが問題ではなかったと思う」

さらに別の職員は、その忸怩たる思いをこう吐露しました。

(文部科学省職員)
「そのスケジュールは無理だと言っても誰も聞いてくれず、文科省として『入試』という最も重要な施策において大臣の無理が押し通されたという意味で、政策の本筋における省としての大きな敗北だった」

 

 

政策のプロ、矜持はどこに

 

これらの証言からは、政治主導で始まった政策に翻弄された官僚たちの姿が浮かびます。しかし、こうした同情の念は、2014年、省内に設置された有識者会議の議事録を読んだ時、払拭されました。

この場では、民間事業者を使った試験の導入に専門家や教育関係者から、危うさを指摘する声が噴出していたのです。

(東京の中学校校長)
「受験料が非常に高額」

(関西の大学教授)
「地域によってその受験機会が大きく異なるというふうなことがありますとなかなか一律に進むことが難しい」

(地方の短大学長)
「経済格差がますます広がるのではないか」

これらの指摘、つまり、民間試験が生み出すおそれがある「経済格差」や「地域格差」への懸念は、すでに5年も前に、官僚たちに示されていたからです。

私たちは官僚の矜持とは、政治から、不本意な政策が下りてきた時、それが理にかなわなければ「無理です」と説得する、もしそれがかなわずとも、その政策を、広く合理的に説明できる程度までしっかり練り直すものだと思っていました。

しかし、英語の民間試験は、そうした努力の跡が見られないまま議論が進められ、2017年7月、文部科学省はその導入を決定していました。

当時を知る幹部は、苦々しい表情で次のように証言しました。

(文部科学省幹部)
「政府のもとに設置された会議の提案はいわばゴールが決まっている。我々ができるのは、制度設計のつじつまあわせにすぎなかった。もちろん受験の機会に経済格差が生まれることなど当時から懸念は持っていたが、いわば進むも地獄、引くも地獄という状況で判断が難しかった。ブレーキをかけようとした職員もいたが、すでに政府の方針が決まっていた以上、多少の危うさがあっても守る必要があった」

民間試験 押し止めたのは「現場の声」

制度上の問題点を認識しつつも、政治主導のもと、それを押し進めた文部科学省。さらに、そこに追従した国立大学協会。大学人でさえもこれかと、正直あぜんとさせられました。

一方、取材する私たちもこの問題点を伝えるニュースを発信してきましたが、流れを止めるに至らなかったことは素直に力不足と認めるしかありません。

ところが、そんな流れに『待った』をかけ、ついに大臣に延期の決定を迫るきっかけを作ったのは、今回間違いなく、当事者の受験生であり、高校の関係者たちの切実な声でした。

最後にもう一度、ある幹部に、どうして文部科学省は政策上の問題点を知りながら土壇場まで突き進んだのか、問いました。

これがその答えです。

(文部科学省幹部)
「そう言われれば、もう言葉もない。政治主導が進む中、官僚として、政策をどう実現していくのかわれわれの在り方を考え直さないといけない…」

今回の問題、私たちは今後も徹底取材します。ぜひ、みなさんの意見や情報をお寄せください。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191107/k10012167391000.html

 

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​「『ババ』、ひいた・・・」
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News Up東大もババ引かされた? ~検証 英語民間試験

2019年11月21日 17時58分英語民間試験

「なぜ英語の民間試験導入は進められたのか?」
前回、私たちは、この疑問に迫るため、文部科学省の官僚たちを取材しました。その中で、ふに落ちなかったのが、問題があると知りながら、活用に踏み切ろうとした大学の姿勢でした。
(霞が関リアル取材班 伊津見総一郎 鈴木康太 大河内直人)

熊本の地で見たものは…

 

民間試験の導入が延期され、1週間が過ぎた今月8日、私は熊本に飛びました。「国立大学協会」、通称、国大協と呼ばれる組織の会合が開かれると聞いたからです。

国大協には、全国86の国立大学が加盟しています。目的はもちろん、延期された民間試験について、学長らの見解を聞くためでした。

言及したのは2大学だけ

 

午後から始まった会合。東大(代理)、京大を始め、そうそうたる大学のトップが顔をそろえました。私は、「どんな意見が相次ぐのか」と、彼らの発言を待ちました。

ところが、民間試験について言及したのは、豊橋技術科学大学の大西隆学長と京都工芸繊維大学の森迫清貴学長の2人だけ。残る大学が口を開くことはありませんでした。

「いったい何なんだ??」

なぜこう感じたかといえば、それは国大協こそ、問題だらけの民間試験を活用すると言い出した張本人だからです。最終的に「使わない」と決めたのは東北大学、北海道大学、京都工芸繊維大学、それに筑波技術大学の4大学のみ。

受験生、高校関係者をこんな時期まで振り回した当事者として、「ひと言あっても」と思った私が間違いだったのか…。

衝撃の光景が ~くまモン見て喜ぶ学長たち

さらに衝撃だったのは会合の後。会場に現れたのは、熊本の人気ご当地キャラクターくまモン。学長たちは大喜びでした。

平時ならば、ほほえましい光景だったと思います。でも、今は大学にとり有事のはずです。正直、こう思いました。

「国立大学、大丈夫か!?」

ある学長のぼやき「予算は国に握られている」

会合の後、ある地方の国立大学の参加者にこちらの疑問をぶつけました。すると、ちょっと気まずそうに、こんなことを口にしました。

(大学参加者)「正論を追求することはすばらしい。しかし、国立大学は1兆円の予算を国に握られている。中の人間としては、理想と現実がある」

さらに、ある大学の名前を出して、正直な胸の内を打ち明けました。

(大学参加者)「この民間試験の問題では、ランドマークの東大ですら、明確な解を示せなかった。それに追従するほかの大学が動けないのはしかたない」

迷走した東大

東京大学。いわずと知れた日本のトップ大学です。しかし、今回の民間試験をめぐる対応を振り返ると、その迷走ぶりは残念ながら際立っていました。

 

 

 

 

 

 

 

国大協が活用方針を打ち出した4か月後の2018年3月半ば。東大の入試担当だった福田副学長は、記者会見で現時点で入試に用いるのは拙速という考えを示し、報道各社は「東大・民間試験活用せず」などと報じます。

ところがその1か月後の4月27日。東大はホームページに副学長の名前で、1枚の声明文を掲載します。

 

 

そこには、方針を転換し、民間試験の活用を前向きに検討すると記されていたのです。

しかし、今度は学内の英語や入試制度に詳しい教員から反発を招き、最終的に、大学は出願資格として活用するという玉虫色の判断をしました。

反対した中には、当時の副学長もいました。石井洋二郎名誉教授です。取材すると、そのじくじたる思いをこう語りました。

東京大学 石井洋二郎元副学長

「民間試験による経済格差や地域格差は当初から懸念されていました。非常に疑問が多いのに、それが未解決のまま大学が走り出すことに、危惧の念を覚えていた」

非公開の会議で何が??音声データ入手

それにしても、いったい背景に何があったのか?

私たちは、東大が翻意する2週間前の4月13日に開かれたある会合に着目しました。その会合とは、自民党の「教育再生実行本部」。政治主導の下、第2次安倍政権となってから、さまざまな教育施策をリードしている場です。私たちは、この会合のやり取りが記録された音声データを独自に入手しました。

「いったいどんなやり取りが…」

およそ1時間に及ぶやり取りに耳を傾けました。そこでは、党の国会議員だけでなく、文部科学省の幹部、さらに、国立大学協会の入試担当者や高校の関係者なども出席し、民間試験についてのヒアリングが行われていました。

まず、会合の冒頭で主査を務める遠藤利明元オリンピック・パラリンピック担当大臣が、先日、東京大学の五神真学長らが訪ねてきたと明らかにします。

(遠藤元オリパラ担当大臣:音声データより)「五神学長は、『新聞報道と違うんです』ということで、おいでになられた」

この面会が4月にあったことは、文部科学省と大学も認めています。つまり、東京大学の学長らが、民間試験の活用に慎重な姿勢を示したあとに、自民党の政治家に、説明しにいったことになります。

さらに、音声データでは、有力な文教族の下村博文元文部科学大臣が文部科学省に、民間試験の活用に消極的な東京大学を指導するよう促していました。

(下村元文部科学大臣:音声データより)「これはやっぱり問題だと思いますよ。文科省はよく東大に指導していただきたい。(中略)間違ったメッセージを国民や他大学に与えていることに対して、きちんともう一度記者会見をして、東大が先頭に立ってやるということをまず言っていただきたい。やるということは、やるということを前提に、ぜひ指導をしていただきたい」

この会合の2週間後、東京大学は方針を転換し、民間試験の活用を検討すると公表したのです。

一連の動きを、当事者たちはどう説明しているのか。文部科学省、東京大学、そして、下村氏はそれぞれ次のように述べています。

(文部科学省)
「国立大学協会を通じて、すべての国立大学に英語4技能の評価実施を働きかけてきたが、個別の会議を受けて東京大学を呼び出したり、指導したりした事実はない」

(東京大学)
「文部科学省や政治家からの指導や問い合わせはありません。決定にあたり、外部からの影響はありません」

(下村元文部科学大臣)
「英語の民間試験は導入すべきだと思っており、そういう思いを持っている中で発言している。もちろん最終的には各大学が判断することではあるが、もっと文部科学省がちゃんと説明する必要があるのではないかということで申し上げた。あくまでも大学の判断で、学問の自由や独自性を脅かすということでは全くない。東京大学に直接要求したのではなく、議員の中でそういう議論もできないことになれば、そもそも自民党の会議が成り立たなくなる。それを受けて文部科学省が動いたということでもなく、東京大学側も働きかけはないということなので、結果として、政治的な圧力には全くあてはまらない」

一方で、憲法23条が保障する学問の自由からみた場合はどうなのか。専門家にも話を聞いてみました。

(日本高等教育学会元会長で筑波大学 金子元久特命教授)
「国立大学は、国の財政負担の上に成り立っており、大学を萎縮させかねない発言だ。文部科学省の大臣経験者としてあってはならない発言だ」

(教育政策に詳しい名古屋大学大学院 中嶋哲彦教授)
「政治家が教育政策を文科省に伝えること自体は許されないものではない。ただ、今回は与党の会議で強い影響力を持つ文科大臣経験者が文科省の担当者を集めて、事実上の指示をしているわけで問題のある発言だと思う。大学に対する介入と受け取れる一線を越えた発言だ」

(行政学専門の東京大学先端科学技術研究センター 牧原出教授)
「民間試験に不備があり延期になって混乱したことを考慮すると、今回の発言は、ある種の『不当な要求』と言える。東京大学が、他大学に与える影響を踏まえると、大学を萎縮させる発言だ。大学の自治を阻害するもので問題だと思う」

ババを引いたのは受験生!

大学の自治なんてすでに形骸化しているという意見もあるでしょう。むしろ、東大を含む大学が気の毒だという見方もあるかもしれません。

しかし、この問題でまさに「ババ」を引かされたのは受験生です。都内の進学校に通う高校2年生は、迷走し続けた志望校に対して、こんな感想を漏らしました。

「日本の国立大学のトップとしてもっと自覚と責任をもった対応をしてほしい」

批判精神失ったら大学は終わり

取材を通して、東京大学の中で民間試験を議論した中心メンバーの石井洋二郎元副学長のことばが印象的だったので、最後に紹介します。

(石井元副学長)「東京大学のほうも、やはり何か屈してしまったような印象はぬぐえません。東京大学は、国立大学ですが、国策大学ではありません。時の政府に対しても、おかしいと思ったらおかしいとちゃんと堂々と言えるようなそういうものでなければいけない。最後の最後で、大学が守るべきものは何かといえば、批判精神を持って学問の自由を守ること。それを失ったら、大学は終わりだと思います」

この問題、肝心の民間試験がなぜ導入されたのかなど、まだ分からないことがあります。私たちは今後も取材します。ぜひ、皆さんの意見や情報をお寄せください。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191121/k10012185491000.html

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国に逆らった大学は正しかった!英語民間試験に「NO」を突きつけていた7大学

AERAdot.

2019.11.16 5:

 大学入学共通テストへの英語民間試験導入が延期となった。延期以前、どのくらいの大学がこの試験を利用しようとしていたのだろうか。

 文部科学省はこんな統計を発表している(10月25日)。英語民間試験の具体的な利用方法を決めた四年制大学や短期大学は629校(全体の6割)だった。四年制大学は71%となっており、うち国立は95%、公立86%、私立65%だった。

 英語民間試験の導入は国をあげて進められてきたが、100%とはほど遠い。なぜ、「お上に逆らう」大学が出てきたのだろうか。

 英語民間試験導入の延期以前に、同試験を利用しないと宣言した大学を見てみよう。北から紹介する(すべて当該大学のウェブサイトから引用)。

 まず岩手県立大である。今から約1年前、鈴木厚人学長は英語民間試験を導入しないと宣言している。

「その理由は、岩手県内を含め地方において、高校生に等しく認定試験を受検する機会が確保できるか、受検料や会場までの交通費など認定試験への経済的負担が多いことなど、不安を抱えたまま受検することを心配したためです。また、岩手の高等教育機関として地域の未来を担う人材育成を使命とする本学として、認定試験を受検しなかった場合でも、本学を受験することができるようにしたいと考えました」(2018年11月26日)

 大学は受験生がどのような不安を抱えることになるかを考え、受験生を心配した。国の政策に従うことより、受験生に徹底的に寄り添うことを選んだのだ。これが大学の矜持というものであろう。

「ただし、平成32年度に予定されている英語認定試験については、公平公正な受検体制の整備や成績評価などに関しこれまでに様々な問題が指摘されております。平成33年度入試に利用するためには、現時点ではこれらの問題が解決する見通しが立っていないと認識しています。

 また、本学が実施した高等学校調査でも英語認定試験を受験生に一律に課すことに対し、賛成が8%と少数である一方、反対は4割を占め、高等学校をとりまく環境で十分準備が整っていないと理解されます。

 このような状況において、平成33年度入試で本学志願者に対し出願要件として英語認定試験の受検を一律に課すことや成績を合否判定に用いることには無理があり、逆に受験生の公平公正な扱いを損ねる恐れがあると判断しました。

 なお、平成34年度以降の入試については、英語認定試験に関する問題の解消と高等学校側の受入れ状況を勘案しながら検討を重ねていくこととします」(2018年12月5日)

 東北大は自ら高校に調査を行ったところ、英語民間試験利用の賛成が8%にすぎないことを重く見た。国の政策より、地元の意見を重視したわけだ。「合否判定に用いることには無理がある」「受験生の公平公正な扱いを損ねる恐れがある」という指摘は、そのまま文科省批判につながる。

 東京大は紆余曲折した。2018年3月、英語民間試験を合否判定に使わないという方針を示したが、4月に利用するという見解を示した。しかし、その後、学内から反対の声が多くあがり、9月、成績提出を必須としないという方針を決めた。

 同大学に設置された入学者選抜方法検討のワーキング・グループ(座長・石井洋二郎副学長<当時>)は英語民間試験のあり方を批判し、五神真総長(兼・入試監理委員会委員長)に以下の答申を示した。これによって、東京大は舵を切り直したわけだ。

「大学入試における出題ミスや問題漏洩などの不正を絶対に避けなくてはならないことは自明であるにもかかわらず、多くの認定試験が個々の問題を公開していない現状では、これを検証することは不可能である。また、試験の回数や会場(スピーキングにおいては試験官)の増加などの努力が、試験の質や公平性の維持を危うくする可能性も否めない。こうした点について文科省、あるいは大学入試センターが責任を持つ統一的な検証や問題解決のシステムを持たぬまま、これを『共通』試験として全国の受験生に課していいものであろうか」(入学者選抜方法検討ワーキング・グループ答申、2018年7月12日)

 英語民間試験の非公開性を放置した文科省に対し、不信感を募らせている。

 慶應義塾大は2012年にセンター試験利用入試を廃止してから、入試については「我が道を行く」方針を貫いており、英語民間試験に興味を示さなかった。

「英語外部検定試験は利用しません。従来のとおり、英語外部検定試験の受検およびスコア等の提出は課しません。将来的な英語外部検定試験の利用については、引き続き検討を行います」(2018年11月19日)

 大学入学共通テスト、英語民間試験利用の旗振り役の一人に、中央教育審議会元会長で元慶應義塾長の安西祐一郎がいる(塾長期間:2001~2009年)。しかし、その後、塾長になった清家篤(2009~2017年)、 長谷山彰(2017年~)は、安西の意向に従わなかった。入試政策において三田会的結束はまったくみられなかった。慶應の考え方として、国政に追随したくないという思いがあるようだ。一方、早稲田大は、大学入学共通テスト、英語民間試験利用に積極的で、この問題について「在野の精神」はみられない。

 津田塾大は文科省に対する疑念を捨てきれない。

「しかし、現時点に至っても、英語外部検定試験の実施体制等が不明確なままです。本学では、こうした諸問題が解決に向かうまでの間、一般選抜での英語外部検定試験の利用を控えることとし、2021年度入試では利用いたしません」(2019年10月2日)

 国の政策を「実施体制等が不明確」と言い切るところに、津田塾大の英語教育に対するプライドが読みとれる。

 愛知県立大の対応は慎重だった。

「本学では、平成30年12月26日付及び平成31年4月25日付予告で、『認定試験』の活用方法について公表し、その成績を『大学入学共通テスト』(以下『共通テスト』)の得点率に換算する方法について、検討を重ねてきました。しかし、公平で客観的な換算方法を未だ確立するには至っていないため、次の入試区分について『認定試験』の利用を見送り、『大学入試英語成績提供システム』と『共通ID』は利用しないものとします」(2019年10月11日)

最後に京都工芸繊維大である。

「本学では、一般入試以外の入試で英語の外部試験を活用する場合、1つの試験に限定し、約2年間のスコアを有効とし、かつ公開テストに限ることで一定の公正性と公平性を担保しております。

 しかしながら、一般選抜への英語認定試験の活用については、現時点で、複数の試験のスコアとCEFRとの対照や受験体制の面で十分な公正性と公平性が担保されていることが確認できないため、2021年度の一般選抜への活用は見送らざるをえないという結論になりました」(2019年3月22日)

 大学として「公正性と公平性」にこだわり続けた。

 以上、英語民間試験を利用しない(必須としない)7校を見てきた。これらの大学が英語民間試験を利用しない理由は、そのまま、11月1日に文科省が同試験の導入延期を発表した際の説明と重なる。

 これは先見の明があったということではない。公平性、公正性が維持できないと考えた大学からすれば、英語民間試験を利用しないのはあたりまえの判断だった。現実に、延期という事態になったことを考えれば、7校の判断は正しかったと言える。

 しかし、お上には逆らえない、にらまれたくはないという思いから、「同試験を利用しないとは言えなかった」という大学もある。これは複数の学長、大学事務局長から聞いた話である。

 大学は国がおかしな政策を進めようとしたら、もっと声を上げていいのではないか。しかし英語民間試験導入の延期決定を受けた、国立大学協会長・永田恭介筑波大学長のコメントは残念なものだった。

「国立大学協会としては、これまで受験生の経済的な公平性の担保について直接文部科学省にもお願いして参りましたし、文部科学省も改善に向けて活動されていたと承知していたところであり、残念であるとともに驚きをもって受けとめております」

 他人事で当事者性があまり感じられない。「改善」という認識があり、「残念」と受け止めている。しかし、これでは不安に思う受験生、高校の感覚とズレる一方だ。

 受験生のことをしっかり考える、何か起こりそうならば心配して対応する。そういう姿勢で国は入試制度を整備してほしいし、大学は入試を行ってほしい。

(文/教育ジャーナリスト・小林哲夫)

AERA dot.より転載

https://diamond.jp/articles/-/220251

 

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英語民間試験が延期の今こそ訴えたい、最重視すべき「英語力」とは

上久保誠人:立命館大学政策科学部教授

キャリア・スキル 上久保誠人のクリティカル・アナリティクス

2019.11.5 4:40

英語の民間試験の実施が延期に「身の丈発言」が原因であるのは自明の理

 萩生田光一文部科学大臣は、大学入学共通テストに導入される英語の民間試験について、来年度からの実施を延期すると明らかにした。試験の仕組みを抜本的に見直し、5年後の2024年度からの実施に向けて検討するという考えを示した。

 萩生田文科相は、英語の民間試験導入の制度全体に不備があると認め、延期して課題を検証し、全ての受験生が平等に受験できる環境をつくるために改善すべき点を明らかにするとしている。しかし、これまで「英語の民間試験導入は予定通り2020年度から実施する」と繰り返し発言してきた文科相が急に方針を変えたのは、自身のいわゆる「身の丈発言」が批判を浴びたためであるのは言う

萩生田文科相の失言は想定内
「失言→謝罪→政策の撤回」に驚きはない

「身の丈発言」とは、10月24日のBSフジの番組で、英語民間試験における「不公平感」を問われた萩生田文科相が、「それを言ったら『あいつ予備校通っていてずるいよな』というのと同じ」「裕福な家庭の子が回数受けてウォーミングアップできるみたいなことがもしかしたらあるのかもしれない」「自分の身の丈に合わせて、2回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえれば」などと答えたものだ。これが、「教育の不平等を容認するのか」と猛批判されて、萩生田文科相は謝罪と発言の撤回に追い込まれていた。

 この連載では、安倍晋三政権の内閣改造・党役員人事を評価した際、萩生田文科相の言動は厳しい批判を浴びることになるだろうと指摘していたので、今回の失言から謝罪、政策そのものの撤回という流れには、まったく驚きはない(本連載第221回)。

 むしろ、心配なのは、萩生田文科相に批判が集中することで、彼の人格・政治家としての資質に問題が矮小化されて、「大学共通テストへの英語の民間試験導入」が含む、より大きな問題が置き去りにされてしまうことだ。

問題の本質は文部科学大臣ポストの人選
保守派か元スポーツ選手ばかり

 何よりも問題なのは、文部科学大臣という閣僚ポストに、これまで誰が起用されてきたかということだ。12年12月の第2次安倍政権発足以降、文科相には、「保守派」か「元スポーツ選手」が起用されてきた。安倍政権にとって、教育とは「道徳」か「根性論」「精神論」という認識なのだろう。そもそも、大臣にならなくても、自民党の文教族にはそういう系統の方々がズラリとならんでいる。

 また、安倍政権が選ぶ教育行政に関わる「有識者」にも、自らの経験論を延々と語る方が少なくない。だから、柔道をやってきた方が有識者になれば「柔道」が学校で必修になるし、たまたまヒップホップをやってきた方が有識者になると「ヒップホップ・ダンス」が必修になる。日本の教育行政では、「道徳」「根性論」「精神論」に「経験論」が横行し、そこには、どのような教育が子どもの成長に効果があるのか、科学的で合理的な検証を行おうとする姿勢が薄い。

要するに、教育行政を科学的・合理的な観点から検証できる政治家がいないことが、そもそもの問題ではないだろうか。もう一歩踏み込んでいえば、この際「文科省分離論」を考えてもいいのかもしれない。「保守派」「元スポーツ選手」に科学・学問が理解できているとは思えないからだ。

 毎年のように日本人がノーベル賞を受賞することに沸く一方で、日本の科学研究力の低下が懸念されている。あえて言えば、それは科学・学問の価値を理解できない政治家・官僚などによる「予算分捕り」など「権力闘争」の結果ではないか。

 日本の科学行政を正常化させるには、文科省から再び「科学技術庁」を分離して首相官邸に置く。大臣には民間から学者などの専門家を起用する。予算を巡る政争に巻き込まれないようにするために、大臣を中心に専門的に科学技術予算を立案し、官邸主導で「聖域化」して予算を確保する。これくらいの大胆な改革を断行しないと、今後は、科学研究において中国などの後塵を拝することになるのは間違いない。

 今回の問題について、萩生田文科相の資質問題を出発点にするならば、「文科相に必要な資質とは何か」「文科省解体も含めた教育・科学行政のあり方」を抜本的に考える契機とすべきである。

総合的な学力を問う入試に対応できるのは
文系では旧帝大、東京六大学と関関同立くらい

 次に、「大学入学共通テストに導入される英語の民間試験」の問題点を考えてみたい。まず、この連載では20年度に導入される「大学共通テスト」そのものを批判したことがある(第146回)。大事なことなので、それを端的にまとめるところから議論を始めたい。

「大学共通テスト」では、国立大で国語を基本に80字以内の短文形式と、より字数が多い形式の計2種類の記述式問題を課すことになっている。記述式問題を導入する「新テスト」は、思考力や表現力などを測るのが狙いである。

 具体的には、現在「国語」「数学」「英語」といった教科ごとの出題から、新たに「合教科」「科目型」「総合型」という問題の出題に変更する。例えば、理科の問題に文章読解や英文読解が入ったり、社会の問題で数式を使って解かないといけなかったり、あらゆる強化の知識を総動員させて思考する、総合的な学力が問われる問題である。これは、既に公立中高一貫校の入試で実施されている「適性検査型」に近い問題であると考えられる。

 筆者は、日本の学生に思考力、表現力を身に付けさせるために、「記述式」など総合力を問う試験を実施する方向性自体は間違っていないと思う。ただし、センター試験の後継として「大学共通テスト」でそれを行うのは、問題が大きいと考える。

 総合力を問う試験に対応するためには、現在の穴埋め問題に対応するためさまざまな知識を記憶し、正確な計算ができるようにドリルを繰り返すよりも、より膨大な量の勉強が必要になる。

 それは、公立中高一貫校の「適性検査型入試」に対応した塾のカリキュラムを確認すると分かる。小学生に対して、「国語」「算数」「理科」「社会」だけではなく、「政治」「経済」「歴史」「科学」「生物」「地理」など、専門性の高い分野の膨大な知識を叩き込み、どんな総合的な問題がきても対応できるように指導している。一方で、記述式の問題で一発勝負の受験となると、出題されるものは膨大な勉強の100分の1にもならない。ほとんどの勉強は無駄になるという理不尽さがある。

 さらに問題なのは、この試験が「センター試験の後継試験」であることだ。つまり全ての学生に「一律に」同じ試験を課すことである。大学教員としての経験と実感から、歯に衣着せずに言わせてもらえば、記述式問題を含む総合的な学力を問う入試を実施したとき、まともに対応できるのは、文系で言えば国立は旧帝大7大学、私立は東京六大学と関関同立プラスアルファくらいだ。他の大学では、多くの答案は空白か、ほとんど採点不能な回答ばかりということになり、入試の1次試験として成立しなくなるだろう。

 はっきり言えば、全ての学生に一律に思考力、表現力を身に付けさせることなど無理なのだ。それにもかかわらず、無理やり「センター試験」の後継として一発勝負の記述式を含む総合試験を課すことになると、おそらく対応できない学生側をどうするかという問題が噴出する。そして、記述式だが誰でも答えることが可能な出題をするようにと、圧力がかかるようになる。

 最終的には、いつもの日本のように「悪平等主義」がまん延し、思考力、表現力を育てるという趣旨は吹き飛ぶだろう。それこそ、かつて「ゆとり教育」で「円周率は3」にしたような、小学生でも答えられるような記述式問題が作成されてしまうことになるのではないか。

 常々思うのは、どうして日本という国は、「一律に全てが横並びで行う」ことが好きなのだろう。それが、さまざまな制度の運用を非常に息苦しくしていることに、そろそろ気付いてはどうかということだ。

大学が求める人材に最も必要な資質とは
英語4技能の中の「読む力」

「大学入学共通テストに導入される英語の民間試験」の問題に戻りたい。既にさまざまな議論が行われているが、その焦点は「教育の平等性」だ。だが、筆者が指摘したいのは「大学は英会話を学ぶ場所ではない」ということであり「大学入試は国民が英語を話せるようになるために行われるのではない」ということだ。

 グローバル社会に対応するために、「読む」「聞く」「書く」「話す」の英語の4技能を身に付けた国民を育成することが必要ということに異存はない。ただ、それは大学入試でやることではなく、大学教育でやることでもない。

 大学入試は、突き詰めれば「大学が必要とする人材を獲得する手段」だ。その人材とは、「専門的な学問を身に付けて、社会に貢献できる資質のある人」である。

 専門的な学問を身に付けるために基本的に必要な資質とは、端的にいえば「専門書」や「学術論文」を読めることだ。特に、多くの学問分野の標準語は英語であることから、「英語の専門書・論文」を読みこなすことが重要になる。だから、歴史的に振り返れば、日本に近代的な大学が創設されて、入試制度が作られたとき、英語の試験では「読む力」が重要視されたのだ。

 このそもそもの歴史を考えずに、「日本人は話す力が弱いから」という理由で、安易に「読む」ことよりも「話す」ことを重視する方向に切り替えるのは、日本の大学における学問のレベルを引き下げる愚挙である。

 繰り返すが英語の4技能を身に付けること自体は重要だと思う。だが、それは大学の外で個人的にやってくれということだ。政府が奨励して、語学学校に通う費用を補助してもいい。しかし、それは大学が必要とする人材にも、大学の目的自体にも、実は関係がないのだ。

 従来通り、それぞれの大学が必要とする英語力のレベル・内容を設定して、独自の入試問題をつくればいい。東京大学や京都大学など、世界トップレベルを目指す大学は、非常に難解な記述式の読み書き中心の英語試験を課せばいい。現在でも2次試験はそうなっている。一方、中堅の大学は、その大学が必要とするレベルの試験を設定して実施すればいいのである。

海外の大学教員が一様に指摘するのが
「日本からの留学生の学力低下」

 筆者は、母校である英ウォーリック大学の恩師など海外の大学教員と話す機会があるが、彼らが一様に指摘するのが、「日本からの留学生の学力低下」である。かつて、筆者が留学した2000年代前半は、大学で最もハードワークし、好成績を収めるのは日本からの留学生というのが「お決まり事」だったように思う(第70回)。

 企業・官庁から派遣された人物がハードワーカーで優秀な成績だったのは言うまでもない。それ以外でも、京都大学の合格を辞退して英国に来た学部生が、学年トップクラスの成績を収めていたし、早稲田大学や慶應義塾大学、同志社大学などから1年間の交換留学でやって来た学生も、授業に必死に食らい付いていた。ある学生は、交換留学のときの指導教官に推薦状をもらい、日本の大学を卒業後、米国の大学院に進み、現在は国際機関で働いている。

 だが、現在はそうではないらしい。頑張っているのは中国からの留学生で、日本からの留学生は授業や課題についていけないケースが増えているという。理由は「話す力」が弱いからではない。それは、自分たちの時代でも、苦労はした。だが、2~3ヵ月もすれば次第に克服できるものだった。日本からの留学生がついていけないのは、むしろ「読む力」がないからなのだ。

 自分たちの時代は、いわゆる「受験英語」のおかげで、ある程度「読む力」を持っていた。筆者の経験では、「読む力」があれば、ハードワークによって会話は3ヵ月もすればキャッチアップできる。一方、「読む力」がないままで留学すれば、多少「話す力」があってもほぼ無意味になる。各授業で与えられるリーディングリストの本・論文を読めなければ、大学の授業についていけないからだ。

 筆者は、短期留学に行く学生がいると、「いっぱい本を読んできなさい」と、よくアドバイスする。学生は「いろんな人とコミュニケーションしなさい」と言われると思っているので戸惑いの表情を浮かべる。そこで補足説明をするのだが「英語で読めるようになると、君が扱える情報量は100倍に広がる。それは、社会に出たときに、すごい武器になるし、他の人と差をつけることができるスキルになる」と伝えると、学生は納得する。今の学生は「スキル」という言葉が好きだからだ。

 要するに、英語の4技能重視は、事実上の「読む力」軽視であり、日本の若者の「専門的に使える英語力」が低くなり、国際社会での日本の競争力を低下させるという逆説的な結果を引き起こしている可能性がある。

 今回の問題が、英語教育というものを「国民の多くが英語を話せるようになること」と「ビジネス・学問・政治経済の国際交渉で使える専門的な英語を必要な人が身に付けること」を明確に分けて、何をすればいいのかを本質的に議論をするきっかけとなることを願ってやまない。

(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)https://diamond.jp/articles/-/219400

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課金ゲーム化する中学受験 “偏差値71の超難関校”開成中学はなぜ「授業料免除」を始めるのか?

課金キャラに負けない「最強秀才キャラ」を囲い込む!

杉浦 由美子

2019/11/27

 東大合格者数No.1の開成中学高等学校。日本屈指の難関校だ。この開成中学が来年度から新入生向けに“授業料免除”の『開成会道灌山奨学金』を開始する。

 一見、不思議な話である。中堅校が学力の高い生徒を確保するために、“授業料免除”の特待生を募集することはあるが、難関私立ではまずありえない。開成は中学入試で偏差値71(※)と全国でトップの水準であり、ほっておいても地頭がよく学力も高い生徒が入ってくるのだから。(※開成中学の入試偏差値は日能研予想R4、2019年10月16日版を参考にした。)

 

開成の狙いはどこにあるのか?

 しかし、奨学金の条件を眺めると開成の狙いが分かってくる。まず、受験前に奨学金への応募受付を終わらせる。そして、主な条件は「年間所得218万円以下、または給与収入のみの場合収入額400万円以下の世帯の子弟」「合格したら必ず開成中学に入学する意思がある者」である。入試での成績の順位や点数は問わない。ようは、経済的に余裕がない家庭の子供を、受験前に囲い込もうということだが、なぜ、天下の難関私立中学がこのような試みをするのか。

 その理由には、中学入試の質の変化があるように思える。今回は、中学受験が課金ゲーム化している現状と、それに開成がどう対抗しようとしているかをみていくことで、日本のエリート教育の変化について考えてみたい。

お金をかければかけるほど、勝てる確率は上がっていく

 中学受験をテーマにした『二月の勝者』(高瀬志帆・小学館)という人気漫画がある。この中で、受験生の母親が「中学受験は課金ゲーム」と言い切るシーンがある。この台詞に心から共感できた人はどれだけいるのだろうか。「いくら金をかけても本人にやる気がなければ仕方ないのでは」と思う人もいるはずだ。

 しかし、2019年現在、中学受験が課金ゲーム化しているのは事実だ。それを説明するために、まず、アプリゲームの課金システムをみてみよう。私はゲームが得意ではない。その私とゲーム達人の小学生がアプリゲームで同じ条件で対決したら、確実に私は負ける。しかし、私が大人の経済力を駆使し、課金しまくったら、情勢は変わるだろう。私がガチャを回しまくり、強い武器を入手し、それを使って戦えば、勝利する可能性は大になる。

 中学受験も同じ構造になっている。お金をかけても100%勝てるとは限らない。だが、お金をかければかけるほど、勝てる確率はどんどん上がっていくのだ。少なくとも課金ゲームと同じレベルには、金のかけ方が合格不合格に影響する。

 開成や麻布などのトップクラスの難関校に入る子供たちは今も昔も地頭はいい。ただ、地頭がよいだけでは受験には勝てない。2000年代までは、地頭がいいのに加えて、勉強が好きだったり、自制心が強かったりして、自ら机に向かって学習する性格でないと、難関校には受からなかった。大切なのは塾での予習や復習であり、自学自習できる受験生たちが“二月の勝者”になっていった。

「子供が勉強をしない」をお金で解決できるようになった

 その頃に受験を経験した難関校の卒業生にインタビューすると、「大手塾に通って、あとは家で自分で復習してただけです。そうしたら、成績が伸びたんで、周囲に勧められ開成を受けて入ったんです」といった話をしばしば聞かされる。本人も親も無理をしていない。自分のペースで勉強していて、学力にあったところに入学し、それが難関校だったというだけだ。

 ところがだ。現在は勉強が好きでなかったり、集中力がない受験生を強制的に勉強させるノウハウやツールがそろっている。今も昔も世間の親の最大の悩みは「子供が勉強をしない」であるが、現在はその悩みをお金で解決できるようになっている。

算数一教科のために月40万円を支払う家庭も

 個人指導塾の講師はこう話す。

「偏差値上位中学の合格者の40%が大手塾、サピックス出身者です。上位校に特化した塾ともいえますが教材が不親切なんですよ。授業で分からなかったところを、後から子供が見直そうとしても、解説が分かりにくいので自力で復習できない。それを補完するために個人指導や家庭教師を利用するケースが増えていったんです」

 取材で接したサピックス現役生(小6)の母親が「サピックスの塾代と個人指導塾の費用、そして、家庭教師代で月に20万円払っている」というので、私が「そんなにたくさんかかるんですか?」と驚くと、「サピックスで一番上のクラスにいて、開成や桜蔭なんかを狙う子たちはもっとかかっていますよ」と話してくれた。

 こういった個人指導塾講師や家庭教師は、料金は高いが、その額に見合う能力がある。それらを利用している受験生ほど塾の授業についていけるので、より成績もあがっていく、という仕組みである。プロ家庭教師派遣企業の経営者を取材した時のことだ。「保護者向けに各科目の対策を講習するので見学しないか」と誘われた。「勉強の内容を聞いても退屈だろうなあ」と思いつつも見学したところ、夢中になって聞き入ってしまった。教え方がうまく、わかりやすい。勉強嫌いの中年の私が面白く聞けるのだから、受験生も集中できるだろう。

 この企業の家庭教師は、感じがいい女性たちばかりで、志望校の選択などの相談から、メンタルケアまで対応する。この企業のトップクラスのプロ家庭教師たちを雇うと、1時間1万2000円である。1回2時間、週に1回呼ぶとしたら、月に10万円ほどかかる。中には算数一教科で、月に40万円近い家庭教師代を支払う家庭もあるという。

 ただ、彼女たちの能力を目の当たりにした私からすると、その額は決して高くはないように感じる。私は中学受験で立方体の問題が苦手だったが、あのプロ家庭教師たちに教わっていたら、ある程度はマスターしていたように思う。このような敏腕プロ家庭教師が指導した受験生たちは非常に“戦闘力”が高くなる。この多額課金キャラたちに、自学自習で学力を伸ばす従来型の秀才が負けていくことも増えているのだ。

「少数からお金を搾り取るビジネスモデルに変化している」

 現在、小学校6年生で受験生の息子を抱える母親はいう。

「うちは幼い弟が騒ぐこともあって、自宅では勉強できない環境です。落ち着いて集中する環境を与えようと個人指導塾に通わせたら、みるみる成績があがっていくんですよ。当たり前ですよね。今まで大手塾以外で勉強しなかったのが、週に何時間か集中して勉強するようになったんですから。ましてやプロがついて、大手塾の復習をさせてくれるんですものね」

 課金したら、成績が上がった。こうなると、課金は止められなくなる。

 中小の塾の経営者はいう。

「少子化の中、教育産業は広く浅くではなく、少数のコアな層からお金を搾り取るビジネスモデルに変化しているんです」

難関校が“放任主義”を捨てはじめた

 さて、この中学受験の課金ゲーム化に最も頭を抱えているのが難関中学である。難関校は元来、地頭がよくてかつ自学自習ができる生徒たちが入ってくるところだった。だから、学校は環境だけを提供して、大学受験対策はしなかった。放任主義が難関校の基本姿勢だった。

 ところが、親に課金され、強制的に勉強をさせられてきた生徒たちはほっておくと勉強をせず、どんどん学力が落ちていく。そのため、いくつかの難関校では放任主義を止め、小テストや宿題をおこない、管理教育をし始めた。ここで新たなる問題が出てくる。難関校には、管理して、生徒を勉強させるノウハウがないのだ。

 難関大学専門塾の講師がこう話す。「ある難関校の生徒が学校で出された“東大対策”の課題を僕のところに持ってきたんです。その課題の質があまりに低い。全然東大対策が分かっていない」。ようは大学受験対策のノウハウが蓄積されてないから、適切な課題を出せないケースもあるわけだ。

 このように、難関校としては、課金されて入ってくる生徒たちの対応に非常に手を焼いている。開成もそれは同様で、本音では、従来のような自学自習できる生徒がほしいはずである。その秘策として今回の奨学金制度があるように思える。

「年間所得218万円以下、または給与収入のみの場合収入額400万円以下の世帯の子弟」が条件だ。この経済状況の家庭では、まず個人指導塾や家庭教師は利用できない。そうなると、大手塾に通うとしても、後は自ら机に向かって自力で復習をし、中学受験をクリアしてくる受験生たちとなる。

課金キャラに負けない「最強秀才キャラ」を囲い込む

 この奨学金制度に対して、「中学受験は特殊なので大手塾に通いノウハウを学ばないとクリアできない。経済的な余裕がない家庭は大手塾の費用すら出せないから、そもそも開成に合格できないのでは」という指摘もあるが、そこにはちゃんと救済策がある。

 中学受験の大手塾では成績優秀者を授業料全額免除、もしくは半額免除にして囲い込む。実際、難関校出身者を取材していると、実家は裕福ではないが、入塾試験で高得点を出し、特待生として格安で塾に通ったという話をしばしば聞く。ごくわずかだが、世間にはいるのだ。自学自習中心で勝負をし、課金キャラに負けない秀才たちが。

 その希少な最強秀才キャラはどこの学校でも喉から手がでるほどほしい。その層を囲い込むために、開成中学は奨学金制度をはじめるようにみえる。

 ちなみに、開成は高校入試では2015年から、この“授業料免除”の『道灌山奨学金』をすでに導入している。高校入試組は学費が安い学校を選ぶ傾向があるから、学力が高い層ほど国公立に流れる。昨今は都立や県立高校が力をつけているから、開成は第二志望校という位置づけだ。だから奨学金制度で、学力上位層に第一志望校として選んでもらおうという作戦なのだと推測できよう。

 この高校での試みが成功したため、中学にも拡大するということなのだろうが、中学受験では開成は第一志望校なので、事情は違ってくるはずだ。中学でも奨学金制度はうまく機能するのだろうか。日本のエリート教育の行方を見守るためにも、開成の試みに注目し続けたい。https://bunshun.jp/articles/-/15801

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米カリフォルニア大、入学選考から共通テストを除外

2020/5/23 4:38

日本経済新聞 電子版

【シリコンバレー=白石武志】米カリフォルニア大学は21日、「SAT」や「ACT」と呼ばれる全米共通テストの点数を入学選考の合否判断に使わなくすると発表した。共通テストは有料で繰り返し受験できるため、対策にお金をかけられる富裕層に有利だという批判が強まっていた。同大は州立。ロサンゼルス校やバークレー校など10のキャンパスで計30万人の学生を抱える有力大学の判断は、他大学にも影響を与えそうだ。

カリフォルニア大学は10のキャンパスで約30万人の学生を抱える(写真はバークレー校)=AP

新型コロナウイルスの影響で米国では共通テストの実施が困難になっており、カリフォルニア大は21年入学の出願者にはすでに共通テストの結果提出を任意としていた。22年以降についても点数の提出を義務づけず、段階的に合否の判断から外す。25年以降は独自のテストを導入する方針だ。

SATやACTは大学進学希望者らの学力を判定するテストで、米国の多くの大学が出願時に点数の提出を義務づけている。両テストの運営団体によると18年にはそれぞれ約200万人が受験した。

ただ、点数は学力ではなく家庭の経済的格差を反映するものだという批判もある。カリフォルニア大では約2年前から入学選考のあり方について見直しを進めていた。

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東大公式発表より4割多い予備校の「合格実績」とは
くらしの数字考
2021年9月6日 5:00 [有料会員限定]​
 
 






「最難関中に塾生の8割が合格」「合格者の3人に1人が当教室出身」――。塾や予備校のホームページには、威勢のいい宣伝文句と共に合格者数が並ぶ。合格実績にあやかろうと通塾を決める親子もいるが、数字に信ぴょう性はあるのだろうか。実態を調べると、塾間の過当競争が浮かんだ。


【主要予備校の東大合格者数の合計、大学発表を1400人上回る】

まず2021年度入試の東大合格者数で確認する。大学の公式発表では合格者数は3086人。各予備校のホームページから実績を拾うと、駿台予備校1474人、河合塾1207人、東進816人、鉄緑会412人、臨海セミナー183人、Z会の教室139人――など把握できた14校だけで4574人に膨らんだ。
塾や予備校のウェブサイトに掲げられている合格実績を合計すると、大学側の発表を上回る






1400人ものズレは誤差の範囲を超える。複数の業界関係者に聞くと、1人の受験生が短期間でも2つ以上の予備校に在籍したことでダブルカウントされている可能性が高そうだ。
カギは合格実績に添えられた注釈にある。「公開模擬試験のみの受験生は含まない」との表記のみの場合、講習会に通った生徒も含む可能性がある。「現役生のみ」「講習生や模試生は含まない」と対象をより限定する例もある。各社の算出根拠には相当なばらつきがあるのだ。


【業界団体は自主基準を設けて啓発するが】

全国約420社が加盟する公益社団法人「全国学習塾協会」(東京・豊島)は「受験直前の6カ月のうち、継続的に3カ月以上在籍し、かつ受講時間数が30時間を超える」との条件を合格実績と規定する。自主基準を基に作った「合格実績自己適合宣言マーク」の活用も促し、「公正な競争を」と各社に呼びかける。
同協会によると1988年の協会設立時の目的の一つが「誇大広告や合格者水増しの自主規制」だったという。担当者は「自主基準はあくまで協会のルールであり、強制はできない。法令や自主基準に基づいて適正な事業活動を行ってほしい」と求める。
実際に行政も不正に目を光らせている。商品サービスを優良であると見せかけて消費者に誤認を与えれば、景品表示法に違反する。過去には消費者庁が系列塾の合格者を自社の合格実績に加算したなどとして措置命令を出した事案もある。
国民生活センターにも塾の合格実績に関する問い合わせが年に数件寄せられる。昨年3月の相談では、高校生の娘を持つ関東の40代女性が「『有名大に1500人受からせた』『合格実績は98%』との広告を信じたのに不合格だった。誇大表示ではないか」と訴えた。
少子化でパイが小さくなり、塾産業の競争も激しくなっている。小中高生の数は減少の一途だが、経済産業省がまとめた学習塾の売上高はこの15年間で1.5倍に増えた。生徒や保護者の目を引こうと合格実績を打ち出す広告スタイルは変わらない。










【コロナ禍でオンライン授業が普及 実態把握がさらに困難に】

「コロナ禍で合格実績がますますブラックボックスになる」と警鐘を鳴らすのは教育ジャーナリストのおおたとしまささんだ。以前から増えはじめていた予備校や塾のオンライン化で遠隔の生徒にも模試や動画を配信し、塾生と見なす手法が広がるためだ。
おおたさんは「合格実績は優秀な生徒をどれだけ集めたかに左右される部分が大きく、ほとんど意味のない数字」と断言する。「たとえば中学入試対策は研究され尽くしており、塾の指導レベルに大差はない。自分に合う先生に巡りあえるか、生徒自身が頑張れるかが肝心だ」と話す。(松浦奈美)

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英語の授業改革 ついていけず生徒悩む
受験考

コラム
2021年9月28日 5:00 [有料会員限定]


「受験学年になる前に」と焦る母親に連れられて、中学2年のA子が他塾から移ってきたのは昨年暮れのこと。英語の定期試験は20点台。「授業で何を言っているのか分からない」と話すA子は中1段階の文法からつまずきが見られた。

真面目な性格のA子は授業日以外も放課後すぐに自習室に来て、基礎からやり直した。講師が丁寧に説明し、理解したことを確認してから次へ進む。これを愚直に積み重ね、2年生の学年末試験では60点台をとった。その頃になると「学校の授業で先生の言っていることが分かるようになってきました」と笑顔を見せるようになった。

3年生になって状況が一変した。英語の教科書準拠ワーク(問題集)に取り組んでいたA子が「教科書の解説をしてほしい」と言ってきたのだ。授業が分からなくなったのかと心配したが、同じ中学校に通う生徒が「私も」と口をそろえる。聞くと、英語の先生は同じ人だが、授業スタイルが大きく変わったという。

学校の授業の流れはまず英語の歌を歌い、英単語ビンゴをする。そしてチャット(2人1組で決まったフレーズを言い合うが、細かな発音指導などはない)。さらに教科書本文の音声を聞き、簡単な和訳を教師が言う。これで授業終了。

教科書本文はおろか受動態や現在完了形といった文法の丁寧な解説はない。しかも授業自体が英語で行われるので、A子はついていけなくなった。「近くの友達に(先生の言葉を)翻訳してもらっているけど、友達の授業の邪魔をしているのでは」とうつむく。

「英語の授業は英語で」が目玉の英語教育改革で学校の授業がどう変わるのか注視していた。生徒たちの話の通りなら、厚く難しくなった教科書を消化できるだけの授業が行われていない学校がある。これでは英語を苦手に感じる生徒が増え、かえって英語力が低下してしまうことが危惧される。少なくとも高校入試は乗り越えられない。(幸)

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RUMEN
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