
2020年 立春
愈々、力を発揮する時期が来ました。今まで蓄えた実力を可能な限り、与えられた課題で発揮することに集中するときです。用意万端という方は極少数です。大多数の方々は、手薄な分野・まだ手付かずの項目などを、色々抱えての本番になります。焦り・諦めなど様々な気持ち(雑念)に悩まされる中で、力を発揮しなければなりません。
本番を迎えたこの時期に大切なことは、大変難しいことですが、
<結果に捉われないこと>です。
1、実力を蓄える時期(これは、テスト当日、試験開始時間まで可能です)
2、蓄えた力を発揮する時(テスト本番)
3、その結果が明らかになり、否応なく向き合わなければならない時
今は 2に集中する時です。 自分の力が及ぶ射程範囲は、2の<蓄えた力を発揮する>ことまでです。このことに最大限集中することです。3の<結果>は、神様や大いなる存在が決めてくださる領域です。
毎年繰り返されることですが、前日まで順調にいき自信満々でいたところ、当日、発熱して・下痢をして・電車が遅れて遅刻しそうになりすっかり平常心を失って・・・試験に集中できなかった。
こうした不可抗力は、文字通り自分の力の及ばない領域であり、試験に限らず、これをゼロにすることはできません。
また、それ以上に、多くの方が緊張で力を発揮することができなくなります。(所謂、頭が真っ白になった というやつです)。
これは、3の<結果>を意識することから生じます。皆さん<結果>を求めて辛い努力を重ねて来たわけですから、<結果>に囚われることは当然のことです。 しかし、逆説的ですが、これが自分を縛ってしまい、逆に<結果>を出すことの妨げになってしまいます。
3の<結果>は、自分の射程外、自分にできることは、2の<与えられた課題に対して、自分の力を最大限発揮することに集中する>ことだけ。 難しいことですが、こうした精神状態になることが、<結果>に通じる一番の近道です。
皆さんの健闘を祈っています。
2019年 冬
十代の皆さんを取り巻く状況は、混乱の度を深めています。関係する大人がそれぞれの立場を優先し、一番肝心な<皆さんの力を伸ばすにはどうすればいいのか?何を解決していかなければならないのか?>といった視点は、見事に忘れ去られています。皆さんにとっては過酷な、気の毒な状況です。
しかし、これらの事柄は、皆さんの思惑が及ばないものであり、皆さんの管轄外です。生徒・学生の皆さんにとって、今最も重要なことは、<チェックポイントがどうなろうが関係ないという、確固とした実力を養成していく努力に集中すること>です。
「紅旗征戎吾が事に非ず。」と、死臭漂う中で、形式美に満ちた和歌の世界を追求した、鎌倉時代の歌人のように、 第二次大戦の末期、国中が米軍の上陸に慄く中で、空腹を抱えながら自分の研究に没頭していた数多くの学者・文化人のように、 日中は医業で務めを果たし、夜になると「鈴屋」という勉強部屋にこもり、古代日本人の精神世界の中に生きた、江戸中期から後期にかけての国学の大家のように。
皆さんが理解・修得すべき内容は、大きな意味では何の変化もありません。<~用の勉強など>は、これらの基本的な実力を蓄えた後、最後にほんの少し準備すれば足りるものです。肝心な点は、<どのような入試制度になろうが、必ず必要となる、また、多くの時間とエネルギーが求められる基礎的事項の理解・修得>です。
変化の時代に入り、それへの適応が求められるほど、必要になるのは、<母語の実力を核とした基礎的(欠くことのできないという意味で)能力の整備>です。 残念ながら、現状、ほぼ壊滅状態です。(いつの時代でも存在している一定の人々を除いては)
母語の運用能力が低く、結果として思考レベルも低位にとどまる方々が、
時代の変化とともに求められる能力を身に付けることは、ほぼ、不可能でしょう。 また、その変化のスピードも加速しています。義務教育レベルでできる内容など実施する時点で時代遅れです。
残念ながら、十代の皆さんを取り巻く状況は、悪化することはあっても、短期間で改善される見込みはあまり高くないように思われます。
くれぐれも、注意してください。十代という肉体的・精神的に可能性に満ちた貴重な時間・エネルギーを、無駄にすることだけは避けてください。
皆さんを取り巻く状況が、一日でも早く、ほんの少しでも改善される方向に動き出すことを願っています。
2019年 春
新しい環境に慣れ、少し落ち着く時期です。期待していた状況とは異なりすっきりしない人、虚しさと戦っている人、毎日充実し時間の経過を速く感じている人、皆さん様々だと思います。自分の方向性を模索していく上で、それら総ての感情が必要なものです。どんな自分ともしっかり向き合ってください。
センター試験まで7か月、中学・高校入試まで8か月です。時間の経過は速いです。しかし、同じような毎日の、その瞬間・瞬間を充実させる以外方法はありません。
勉強以外の総てに言えることですが、<自分の限界を引き上げていく作業>では、次のことに注意してください。
何かをマスターしたり、レベルアップを図っていこうとするとき、一般的に、linear(右肩上がりの直線的)にイメージされる方が多いのですが、実際には、まずありません。
手ごたえの感じられないジリジリした長い時期を必死に食らいつきもがいて努力を続けているうちに、ある瞬間ぱっと一段上のレベルにいる自分に気づく。しかし、また、同じようなジリジリした手応えの感じられない時期になる。食らいついているうちに、パッと視界が開け出来なかった事が出来るようになっている。その繰り返しが、本当の実力が付いていくプロセスの実際です。 多くの方が、この手ごたえの感じられないジリジリした時期に耐えられず脱落していきます。ほかにもっと自分に合った方法があるんじゃないかと、教材をあれこれ変えてみたり、など。自分が今ぶち当たっている壁が、自分の目標にとって必ず乗り越えなければならないものなのか、今の自分のやり方・取り組み方(方法論)が適切か を、よく確認し、YESであるならば try and error を続けなければなりません。 逆に、必死にやった結果、<この方向性は自分の目指すものではない>との思いが大きくなっていくのであれば、思い切って方向転換を考えるべきです。
どなたにでも言えることですが、目標が大きければ大きいほど、遠ければ遠いほど、自分の足元を見つめて見てください。毎日の食事・睡眠といった生活リズム、また、自分を支えてくださるご家族や身近な人々への心遣いなど。長く厳しい努力を継続していく上でとても大切なことです。 自分でうまく整理ができない時は、遠慮なく相談してください。他人に話すことは、最も効果的な客観化の方法です。 (ぜひ来てください)